京都大学公共政策大学院同窓会「鴻鵠会」

挨 拶

初代研究部長・教育部長として
小野紀明

 京都大学公共政策大学院が開学すると同時に私が初代の研究部長・教育部長に就任したのは、設置準備の段階で中心的な仕事をしていたためであろう。この作業のなかでとりわけ留意したことは、公共政策大学院を職業教育の場としてぎすぎすしたものにしないことであった。専門職大学院ではあるが、教育機関であるかぎりは学生相互、そして学生と教職員のあいだに人間的な触れ合いがあることが重要であると考えたわけである。同じ志をもつ者が学問のみならず色々な場面で協力することは、人間の幅を広げる上で絶対に必要なことである。同時にまた、各自の個性や信念の相違を承認し合うことは、現代社会に生きる者として最低限身につけるべき作法であろう。公共政策大学院では、なによりもまずこうしたエートスを修得してほしいと願ったのである。

 今年で公共政策大学院は、開学後4年目を迎える。上で述べた私どもの願いは、見事に実を結んでいるように思われる。私どもが意図したように、少ない学生数の下で各自が2年間の学生生活をエンジョイし、また一般選抜と職業人選抜、外国人特別選抜の合格者の関係も良好であるようにみえる。この度、卒業生および在学生の全面的な力添えで、同窓会のウェブが新設されたのも、その証左であろう。もう少し勉強してもよいのではと思わせるところもないではないが、この雰囲気を維持することのほうが大事であると私には思われる。これが京都大学公共政策大学院の伝統として受け継がれていくことを、創設メンバーのひとりとして切に望む次第である。 

同窓会担当教員
西村尚剛

 鴻鵠会会員の皆様、実務家教員(財務省OB)の西村尚剛です。
今年の4月から同窓会の担当を仰せつかりました。どうぞよろしくお願い申し上げます。この機会に会員の皆様にメッセージをということですので、思いつくところを述べさせていただきたいと思います。

 まず一点目は同窓会の意義、価値についてであります。ご案内の通り、京大公共政策大学院は一学年が40人の定員という小規模の大学院であります。しかし時を経て現時点では修了生の数も380名に達し、同窓会も一大勢力になりました。そしてそのクオリティーも、中央官庁、地方自治体、政府機関、シンクタンク、メディア、金融機関などの一流組織であり、その組織の中で将来を担う人材群であります。私も公務員を30年超やって思うのは、社会におけるネットワークの大切さ、さらに突き詰めていえば人間関係の大切さであります。鴻鵠会の名簿を見て思うのは、これがネットワークとして機能すれば大変な財産だなーということであります。

 京大公共政策大学院は幸いなことに少人数であるが故に院生同志や院生と教員、事務室との距離が近いというメリットがあり、そもそも家族的雰囲気があります。もちろん就職してOBになると目の前の仕事や付き合いに振り回されて、光陰矢の如し、ということになりかねないのですが、そこで一歩下がって、同窓会というネットワークにも手を突っ込んで見て下さい。皆さんの参加が、このネットワークを財産にできるかどうかの鍵だと思います。

 第二点目は鴻鵠会という名前についてであります。
この名前の由来は名簿の1ページに書かれてあるとおりですが、小野先生は本当に良い名前をつけてくださったと思います。
公務員生活の中で、上司から教えられたことの1つに、壁にブチ当たった時には、原点に戻れということがあります。京大公共の修了生の諸君も、そういう時には原点にもどる、ということが有効な選択肢だと思います。その原点をこの言葉は示している。
鴻(おおとり)や鵠(くぐい)のような広い視野と高い志をもって国家、社会に貢献する人材となること、それが、京大公共政策大学院を出た修了生の出発点だということでしょう。

 混とんとした世の中、最近、経産省の次官と若手がまとめたレポート「不安な個人、立ちすくむ国家」が話題になっています。賛否様々な意見が寄せられていますが、これから日本が迎える社会、国家に対して真摯に向きあっているスタンスは評価されるべきものと思います。皆さんも鴻鵠会の原点に立ち戻り、自らの能力と倫理感を十分に活用され、国家、社会の未来に貢献されんことを心より期待したいと思います。